大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和31(オ)152 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人等の負担とする。

理 由

上告代理人中山淳太郎上告理由一乃至五について。

上告人等の合議にもとづく本件仮処分命令の執行により、被上告人の施行する本

件家屋建築工事の進行が妨害せられ、その結果、被上告人が精神上の損害を受けた

判示顛末は、一部原審に於て争のない事実として、その他原判決挙示の証拠並に弁

論の全趣旨により十分認定し得られ、その事実認定は、首肯するに足りる。その事

実にもとづき、上告人等に対し、被上告人の請求した損害賠償を、原審が認容した

のは正当である。原審に所論の違法はない。

論旨は、本件家屋建築工事施行者は訴外Dであつて、本件仮処分の執行は、同人

に対し効力を及ぼさないから、同人が右建築工事を進行しなかつたことについては、

上告人等に何の責任もないと主張する。しかしかゝる主張は、原判決の事実確定に

副わないものであるから、本件の判断に、少しも影響を与えない。その他論旨は、

独自の見解により、原審の事実認定を非難するに帰する。

論旨は、理由がない。

同六及び七について。

原判決は、本件調停調書附図に記載せられた距離に、調停上の合意と異る明かな

誤謬があり、上告人等がこの誤謬を知つて居たにも拘らず、右調停上、上告人A所

有と合意せられた土地の範囲外である被上告人所有土地上に存する本件家屋に対し

上告人等合議の上、本件仮処分命令の申請及びその命令の執行をしたことが、上告

人等に於て、故意に本件家屋建築工事の進行を妨害したものであると認定して居り、

この認定は首肯し得られる。而して、調停調書の記載にして、誤謬の明かなるもの

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について、更正決定の許されることは民事調停法一六条、民訴二〇三条の明文上疑

なく(昭和六年二月二〇日大審院決定、民事判例集一〇巻七七頁参照)、本件調停

調書に対する更正決定は、適法な手続により取消された形跡がないのであるから、

右調停調書の記載に明かな誤謬のあつたとする原審の事実認定の首肯し得る限り、

更正の手続に仮に違法があつたとしても、当然に無効となり、不存在であるいわれ

はなく、しかもそのことは本件不法行為の成否に関係がないのである。なお論旨は、

上告人等は、本件仮処分命令を申請するにつき、本件調停調書の記載に誤謬がない

と信じて居たと主張するが、右は原審の認定に反する主張にすぎない。

論旨は理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 石 坂 修 一

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

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